留辺蘂駅で途方に暮れる私がいた。
オホーツク1号はどうにか撮影できたが、それを最後に石北本線は完全にストップしてしまい、全面運休。
それどころか、道内のほとんどの鉄道路線がストップしてしまった模様。
快速エアポートすら止まってしまうとは尋常じゃない。
ここ留辺蘂近辺も確かに降りは強いが、旭川方面はもっと凄まじい降りなんだろう。
撮影計画はオジャンだ。
って、そんなのんきなこと言っている場合じゃない。
帰りに乗る列車も運休になっちゃったんだから。せっかく奮発してグリーン車買っておいたのに。
こんな留辺蘂なんてそれまで聞いたこともなかったような街で取り残されてどうすればいいというのか。
いずれにせよ、すぐに行動に移らないと取り返しのつかないことになる。
そう判断した私は動き出した。
まず今晩札幌で押さえてあった宿をキャンセル。
鉄道運休の旨を話したらキャンセル料は特別に免除してくれた。
次に購入済みのグリーン車乗車券を払い戻すべく、留辺蘂から一番最寄りの有人駅である北見までタクシーで向かった。
6000円くらいしましたよ、トホホ。
北見駅で払い戻しを済ませ(タクシー代から差し引き6千円の戻り・・・)、
駅員に詳しい状況を聞くも、運転再開の見込みはないとの冷たい答え。
私に残された手段は、北見で1泊するか、旅そのものをここで切りあげて、最寄りの空港である女満別空港まで行ってそのまま帰っちゃうかの2通り。そして私は後者を選んだ。
明日まで待っても、台風が来ている以上明日もきっと雨。
鉄道が再開する保証はなく、今迅速に動かなければ帰る手段を完全に断たれてしまう可能性があると。
幸い、北見駅からは空港連絡バスが出ていたのでそれに乗り込むことが出来た。
札幌行きの高速バスもあるにはあったが、ホテルをキャンセルした今、
札幌に行っても状況は変わらないと判断し、女満別空港行きを選んだ。
これがのちに判断ミスだという事が判明するのである。
なんと女満別空港へ行ってみれば、もう羽田へ向かう便は満席とのこと。
北見でスマホで確認した時には空きがあったのに、空港に向かうまでにすべて埋まってしまったというのか。
クレジットカードを使いたくなかったのでその場で購入しなかったことが凶と出てしまった。
おそらく北海道へ旅行に来ていた多くの人々が、道内からの脱出を試み始めていたんだと思う。
打つ手が阻まれ、また北見にとんぼ返りして1泊するしかないかなと思ったが、
ふとJALのカウンターを見ると、直後の女満別発、新千歳行きの便に空きがあることに気付いた。
これを逃したら完全にゲームセット。躊躇せず購入しました。実に最後の1席でした・・・。
結局札幌方面に戻るのだったら、高速バスの方がはるかに安かった。
たかだか新千歳行きなのに2万6千円も取られてしまい、余計な出費になってしまった。
だが、新千歳空港の方が数多くの出発便があるので、1泊するにしても千歳近辺の方がいい。
幸い、今日はもう無理だったが、明日の午前中の便ならまだだいぶ余裕がありそうだった。
今日の帰還は諦めて、明朝帰路へと着くことにした。明日の午前ならまだ台風の影響は出まい。
女満別から小型ジェットで新千歳空港へ降り立ち、すぐさまANAカウンターへ行き予約変更と新規購入を申し出た。
台風接近を考慮しての旨を伝えたら、差額ゼロで航空券を交換してもらえることになった。
誤算続きであったが、これは大変ありがたかったね。さらなる出費を覚悟していたから・・・。
やはり考えることは皆同じのようで、空港内は大混雑。
きっとこの後も続々と似たような人が押し寄せてくるのだろう。
そういった意味で、留辺蘂駅で運休を知った後に、腐らずに迅速に行動に移せていて本当によかった。
もしあそこで余計な事をしていたら、それこそ帰る手段を完全に失っていた可能性すらあるのだから。
ここ数年で相当旅慣れていたことが幸いした感じだね。いろいろ出かけておくもんだ。
改めて確保した千歳のビジネスホテルに入り、最後の夜を過ごした。
結局旅は途中切り上げになってしまい、明日に予定していた2年ぶりの札幌競馬参戦もおじゃん。
すすきののネオンを見ることもできずに、北の大地を去ることになってしまった。
帰る手段を確保できた安心感と、旅を頓挫せざるを得ない無念さが入り混じった複雑な夜でした。